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駅・空港のデザインと案内性|ユニバーサルな移動体験を創る「ウェイファインディング」の本質


駅や空港といった公共交通機関の拠点は、多様な文化や言語、身体的状況を持つ人々が激しく交差する場所です。ここでのデザインの良し悪しは、単なる美観の問題ではありません。それは、スムーズな移動を支える「案内(ウェイファインディング)」という機能性に直結しており、施設の運営効率や利用者の満足度を左右する極めて重要な要素です。

本記事では、駅・空港における案内性の向上をテーマに、最新の人間工学的視点と、83Designが提唱する「デザインエンジニアリング」の観点から、ストレスフリーな移動空間を実現するための要諦を解説します。


駅・空港における「案内性」の本質的な定義

公共空間における案内性(ウェイファインディング)とは、利用者が目的地まで迷うことなく、自律的に到達できる能力を指します。優れた駅・空港のデザインにおいては、単にサイン(標識)を設置するだけでなく、建築構造、照明、音響、そしてデジタルデバイスが一体となって、利用者を直感的にガイドすることが求められます。

案内性を高めるためには、以下の3つの視点から空間を設計することが不可欠です。

  • 空間の可視性(Visibility):遠くからでも目的地や経路が視認できること。
  • 情報の階層化(Hierarchy):必要な情報を必要なタイミングで提示し、情報過多による混乱を防ぐこと。
  • 連続性(Continuity):出発点から目的地まで、案内が途切れることなく連続していること。

これらを具体化するための設計手法と効果は、以下の通り整理されます。

要素具体的な設計手法期待される効果
視覚的ランドマーク特徴的な造形物や吹抜けの設置自分の現在地を直感的に把握できる
カラーコーディング路線やエリアごとに色を統一言語を介さずに行き先を判別できる
デジタルサイネージ動的・多言語情報のリアルタイム表示遅延や搭乗口変更などの動的な状況に対応できる

空港デザインの潮流:心理的負荷を軽減するジャーニーの設計

空港は、チェックインから保安検査、出国審査、搭乗といった厳格なプロセスを伴う施設です。利用者は常に「時間に間に合うか」という不安を抱えており、デザインにはその心理的負荷を軽減する役割が強く求められます。

アーキテクチャによる無意識の誘導

サインに頼りすぎるデザインは、かえって空間を煩雑にする恐れがあります。最新の空港設計では、床の材質や天井の高さ、照明の向きを変えることで、意識させずに人を誘導する「アーキテクチャ・ウェイファインディング」の手法が採用されています。

  • 床のデザイン:進行方向に合わせたパターンやテクスチャの変化で、自然に経路を示す。
  • 天井の高さ:広場(滞留)と通路(移動)のコントラストをつけることで、空間の目的を定義する。
  • 自然光の活用:出口やゲート方向に明るい空間を配置し、人間の走光性を利用して誘導する 。

デジタルとフィジカルの融合

スマートフォンアプリと連動した屋内ナビゲーションや、生体認証(OneID)によるシームレスな通過は、案内性の概念を大きく変えています。物理的な看板だけでなく、一人ひとりの状況に最適化されたパーソナライズな案内が求められる時代へと移行しています。

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駅デザインの課題:複雑な都市構造における情報の整理

特に日本の都市部における大規模ターミナル駅は、地下街や商業施設が複雑に絡み合い、ノイズが非常に多い環境です。ここでのデザインの要諦は「ノイズの徹底した排除」と「ユニバーサルデザインの貫徹」にあります。

標準化とアクセシビリティの確保

不特定多数が利用する駅では、JIS規格やISOに基づいたピクトグラムの使用が必須です。さらに、弱視の方にも配慮したコントラストの確保や、多言語表記(日本語、英語、周辺言語)、点字ブロックといったタクタイル(触覚)案内の統合的な配置が欠かせません。

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滞留空間と家具の役割

現代の駅は単なる通過点から、仕事や休憩を行う「滞在する場所」へと変化しています。例えば、83Designはオランダ・アムステルダムにて駅のベンチ調査を行い、30種類以上のデザインや機能を分析しました。ベンチ一つとっても、その配置やデザインが、案内性(どこが待ち合わせ場所か)と快適性の両立を左右するのです。

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83Designのアプローチ:デザインエンジニアリングによる体験設計

83Designでは、駅や空港のデザインを「サービスデザイン」の一環として捉え、利用者の感情の起伏に基づいた最適な情報の提示を目指しています。

「STAIRS UP」による論理的な課題解決

複雑な案内設計において、私たちは独自フレームワーク「STAIRS UP」を活用します。利用者の行動プロセスを細分化し、各地点での「迷い(ペイン)」を抽出した上で、以下の3つのレンズで解決策を検証します。

  • Desirability(有用性):ユーザーがその瞬間に真に欲している情報は何か?
  • Feasibility(実現可能性):既存の建築構造やインフラで実装可能か?
  • Viability(持続可能性):メンテナンス性や情報の更新性は確保されているか?

案内デザインの失敗は情報の欠如ではなく、不要な情報(ノイズ)の多さから起こります。私たちはデザインエンジニアリングの視点から環境的なノイズを排除し、技術と体験をセットで定義します。

プロトタイピングによる「確信」の提供

公共施設の案内性は、机上の論理だけでは完成しません。83Designでは、実物レベルのモックアップやVRを用いた検証を早期に行います。これにより、実際の視距離での見え方や人の流れを科学的に検証し、ステークホルダーへの説得力ある提案を可能にします。

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まとめ:移動体験(UX)を軸とした統合デザイン

駅・空港のデザインと案内性は、施設の利便性と価値を左右する最重要課題です。サイン、建築、デジタル、そして家具。これらを別個の要素として捉えるのではなく、利用者の「移動体験(UX)」という一つの軸で統合することで、初めて「迷わない空間」が実現します。

83Designは、単なる工業デザインの枠を超え、こうした複雑な公共空間の課題を解決する事業開発パートナーとして、貴社のプロジェクトを支援します。

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